廣田硝子・廣田社長へのインタビュー、本日は後編をお届けいたします!
■「大正浪漫硝子」のシリーズで使われている「あぶり出し技法」は、いちど消えかかった技術を復刻したとのことですが、復刻までの道のりを教えてください。
「大正浪漫硝子」は、大正時代、かき氷を食べるうつわとして流行った商品です。
しかし、1つ1つの工程にとても時間がかかるため、いちど技術が消えかかってしまいました。
先代が復刻プロジェクトをスタートさせたのですが、文献が残っていても文献通りに上手くいかないのが難しいところです。実際に技術を持った人に教えてもらわないと、詳細まで再現することができません。
1980年代、「あぶり出し技法」によるガラス製作ができるガラス職人さんたちに教わり、試行錯誤を重ねながら技術を復刻しました。それでも、現状作れる人はほんのわずかです。また技術が消えてしまった場合、再度復刻することはさらに難しくなってきます。後世に技術を継承できるように、技術を繋いでいきたいと考えています。
■歴史あるブランドを守り続けていくために、大切にされていることは何でしょうか。
「あぶり出し技法」と同様、できる限り多くの技術を後世に残せるようにすることを大切にしています。
また、一般的にガラスを見せる美術館の数はそれほど多くありません。「すみだ和ガラス館」の3階にある、「和ガラスミュージアム」を現在改装中なので、まずは開館に向けて取り組んでいきたいと考えています。技術を伝承するだけでなく、多くの人に見ていただけるように紹介していくことも、社会的意義であると思うからです。
■今後の展望や、目標とする商品の復刻などがあれば教えていただきたいです。
若い職人さんもいますが、高齢化も着実に進んでいます。今、作らないと永遠に作れなくなるかもしれません。日本古来の大切な技術を伝承させていくために、できることを行っていきたいと思います。
さらに、「江戸切子板」や照明など、建築やインテリアの分野にも携わっています。食器の技術でもってできることを、今後も取り組んでいければと思います。
廣田社長、貴重なお話をありがとうございました!
もう1つ、廣田硝子についての企画も始動します。ぜひご覧ください!
今回廣田社長にお話を伺った場所は、「すみだ和ガラス館」。国内唯一の廣田硝子直営店です。お話を伺ったあと、父の日のプレゼントとして「吹雪 ぐいのみ ブルー」を購入しました。
廣田社長から、私が選んだぐいのみの特徴も教えていただきました!
「吹いて作るタイプの酒器は、最後に必ずバーナーで切るため飲み口が均一に仕上がります。一方で吹雪の盃は金型を回転させて成形するので、ガラスが遠心力でストレスなく自然に広がり、飲み口が波打つような形状になるんです。人の手が加わらない、自然なガラスらしい良さが、スピン成形で作るぐいのみの魅力だと思います。」
参考動画:ガラスの加工方法(映像提供:廣田硝子)
やわらかい曲線に惹かれて選んだ逸品の魅力まで教えていただき、案内人としても、1うつわ好きとしても非常に楽しい時間でした♪
【関連記事】