「漆工房 大島」の大島太郎さんへのインタビュー、第3回は職人育成についてのお話です。
山中漆器は、全ての作業を分担する「完全分業制」によって作られています。1人が担当する作業はひとつでも、できるようになるまでは長年の修練が必要です。 石川県挽物轆轤技術研修所などで4年修業後、親方さんの元でさらに1年弱、修行をします。そこでようやく独り立ちしますが、1人前になるまでにはさらに年数を要します。真の1人前になるためには、とにかく数をこなさなければならないのです。
例えば、木材からうつわの形を削り出す「ろくろ挽き」。大島さんの工房では、独り立ち前の職人さんに毎月、木地を挽く作業をしてもらいます。挽いた分だけ引き取る決まりにしており、その数はひと月100客、年間1,200客以上にのぼります。
どんな職人さんでも初めは作業に時間がかかり、時には時給換算すると見合わなくなってしまうこともあるとのこと。そのため、「漆工房 大島」では出来栄えの如何は問わず、親方さんと同じ対価を払うことにしているそうです。独り立ち前の職人さんは皆、いかに品質やスピードを親方さんのレベルに近づけるか、自分で考え、工夫を重ねていきます。
「作っている人が楽しまないと、使う人も楽しくなくなってしまいます。作り手が面白くしていこうという気持ちが大事です。」
モチベーションを高く保ち、創意工夫できるフィールドがあるからこそ、美しいうつわができあがるのですね!
大島さんへのインタビューは今回で最終回となります。大島さん、ご協力いただきありがとうございました!
【関連記事】