吉延美山先生へのインタビュー最終日の今日は、対面販売の意義についてのお話です。
吉延先生は、対面販売を大切にされています。その理由は、写真では伝わらないことが多くあるからです。
例えば、先日の記事でも触れた、作品の強度について説明する際は、長年使っているものを実際に持っていきます。そうすることで、「孫の代まで持つ」ということばに納得されるお客さまが多くいるそうです。1個購入してもらうまでの道のりは簡単ではないとのことですが、1度使い始めると使っていくうちに美しくなる備前焼に魅了され、リピーターになる方も多くいます。「和食は和食器に合わせると良いですよ」とおすすめすると、次にそのお客さまがご来店されたときに、盛り付けた写真を見せてくれることもあるとか。
バブルの時代当時、微粒子でつくった作品は「備前焼でない」と言われ、売れない時期が続きました。今でも、「こんな備前焼見たことない」と言われることもあるそうです。しかし、作品の質について地道に対面販売を実施し続けた結果、丸山窯の備前焼のファンは着実に広がっていきました。豪雨や台風などが発生したとき、百貨店が休業せざるを得なかったとき、電話やはがき、手紙で「大丈夫ですか?」と心配して連絡をしてくれるお客さまが存在することが、何よりの証拠ではないでしょうか。
「過去の伝統工芸品が存在したから今の伝統工芸品がある。そして、今に伝わってきたからには理由がある。その重みも含めて、お客さまに訴えていくことが大事」と吉延先生は仰っていました。対面販売を続けてこられて20年。これからも続けていきたいと、お話してくださりました。
今日で吉延先生のインタビューは最終回となります。西武池袋本店で2022年2月23日(水)~3月1日(火)で吉延美山先生、そごう千葉店で2021年11月2日(火)~8日(月)でご長男真一さんの催事出店が予定されています。詳細はまだ未定ですが、今回のインタビューをきっかけに興味を持ち、足を運んでくださる方が増えたらうれしいです。
吉延美山先生、ご協力頂きありがとうございました。