備前焼は高温で焼くために、「投げても割れない」とまで言われるほど丈夫と言われています。備前焼の中でも特に丸山窯の粘土、焼き方は特有で、より丈夫に焼きあがるというのが特徴です。インタビュー2回目は、この丸山窯独自の作陶法についてのお話です。
お父様である、吉延英秀さんと一緒に丸山窯をやっていた当時、土はブレンド土を使っていました。花入、壺、大皿はブレンド土で問題ない一方で、毎日使うような食器類はまれに角が欠ける、渋が付きやすいなど、食器を主に作りたかった吉延先生にとっては、欠点の多い素材でした。
試行錯誤の末、行き着いたのが「粘土を微粒子にする」という手法です。長く使えるうつわに仕上げるためには「磨きこむ」という先人の知恵もありますが、大理石等、自然界の良い石は汚れないことからヒントを得て、微粒子で焼き上げるとガラスより固くなるのでは、という独自の作陶法を導き出されました。
粘土が微粒子だと焼く過程で壊れやすくなるため、ゆっくりと温度を上げる必要があります。そのため、丸山窯では通常の備前焼よりも長く、16日間をかけて焼き上げていきます。
このやり方を続けていくのは、簡単なことではありません。焼き上げるのに使用する赤松の割木は割ったあとに乾燥させる必要があることに加え、昨今では赤松自体が手に入れることが困難になりつつあります。
それでも、より良い質を求め、独自の作陶法を守り続けていらっしゃるのです。
明日は、吉延先生が備前焼を始められたきっかけについてのお話です。