「陶磁器」ということばを辞書で調べると、広く総称として使われることもありますが、「陶器と磁器」という意味もあります。うつわ区案内人としては、しっかり両者の良さがわかるようになりたい、と思ったので今日は陶器と磁器についてのお話です。
メインとなる材料は、陶器が粘土、磁器が陶石です。そのため、陶器は土の風合いが残った状態、磁器はガラス化した状態が特徴です。このガラスの分量の違いが、さらに陶器と磁器に違いを生み出しています。
まず、ガラス化していることによる、磁器の特徴を見ていきましょう。ガラス化により、光を通し、素地の穴をふさぐ状態になるため、吸水性もほぼなくなります。光を通すことで透明感のある仕上がりになり、吸水性がないために強度は陶器より高くなります。
次に、ガラス成分が磁器よりも少ない、陶器の特徴を見ていきましょう。陶器は磁器と異なり、光を通さず、素地に小さな穴があるため、吸水率が10%近くになることもあります。素地の穴は空気を含み、そのため陶器は熱が通りにくく冷めにくい、というのも特徴の1つです。さらに、この穴が多数あることにより、同じ厚さの磁器よりも軽く仕上がります。
磁器と陶器、それぞれ違った特徴を持つうつわですが、デザイン面でもそれぞれの良さがあります。
磁器は無色の釉薬を使用しているので、陶石の白さで素地は白くなります。そのため、色付け等によるデザインの選択肢が多様になります。鮮やかな色使いが、磁器のデザインの特徴と言えるでしょう。
一方、陶器は原料の粘土により、土色を基調とした仕上がりになることが多くなります。先日の備前焼のインタビュー記事で取り上げたように、自然条件に左右されて最終的な仕上がりが決まることもあります。吸水性によって、使っていくうちに違った味わいを醸し出し始めるのも、陶器のデザインの特徴です。
美しいデザイン性と自然が生み出したデザイン、シーンによって使い分ける楽しみ方もありますね。 もちろん、陶器と磁器以外にもうつわの素材はあるので一概には言えませんが、ご自宅のうつわの素材は何で出来ているか見分けてみるのも、うつわの楽しみ方のひとつではないでしょうか。ちなみに写真のお皿は上記の特徴から、磁器ではないか、と私は思いました。