今回は広島の地酒「白鴻」、「沙羅双樹(さらそうじゅ)」でおなじみ、盛川酒造の社長・盛川知則さんにインタビューをいたしました。盛川酒造のこだわりや、盛川さんおすすめの一本などを伺いました。
広島杜氏の伝統を守り続ける
盛川酒造は、明治20年の創業以来「汲むほどに味も香りも深き酒」という言葉とともに、食事と共に楽しめる酒造りを続けています。酒蔵は瀬戸内海国立公園・野呂山の東麓、田圃に囲まれた里山の中にあります。蔵の敷地内から汲み上げる野呂山系の良質の極軟水を仕込み水として使用し、広島杜氏伝統の軟水醸造法を守りながら酒造りを続ける小さな酒蔵です。
酒造りを担うのは、杜氏である私の実弟を含む僅か3名の蔵人です。製造数量は200石、一升瓶に換算すると20,000本と大変少ないですが、数多くのミシュランの星付レストランなどでも採用されています。極軟水から醸される「白鴻」、「沙羅双樹」ですが、実は強い酒です。言い換えれば、劣化しにくい酒なのです。熟成することにより美味しさが増したり、開封後の味の劣化が遅いことも特徴です。
良質な酒米と仕込み水を使用した渾身の一本
私のおすすめの一本は、「純米大吟醸50 沙羅双樹」です。「沙羅双樹」は盛川酒造の中でも、高級酒のラインナップです。兵庫県の特A地区で作られた山田錦、良質の水を使用した渾身のお酒です。口に含むと柔らかく、後味にキレがあるのが特徴です。大吟醸酒は比較的甘く感じるものが多いのですが、こちらは辛口に感じる味となっており食事に合わせやすいです。
製造数量が少ないため、飲んでいただくく機会が少ないと思いますが、「白鴻」、「沙羅双樹」を見つけられたら、ぜひ一度口にして頂ければ幸いです。口に含んだ時に、その仕込み水の美味しさに気付いて頂ければ光栄です。