日本酒造りに最も大事といわれるもの、それは「水」です。日本酒の成分の約8割を占め、地域によって硬度や含まれる成分はさまざま。大きな違いを生んでいるのです。今回は夜にひとり日本酒を飲みながら、地域と水の関連性を学んでみませんか?
灘の男酒
まずは清酒の生産量が最も多い兵庫県。地域によって水質が大きく異なります。よく「灘の男酒」といわれますが、良質の硬水が湧き出る場所なのです。硬水を使うと「旨み」や「キレ」のあるはっきりした味わいになるといわれています。山と海が近く傾斜の多い日本では、水が地層を通る時間が短いため多くの地域が軟水です。良質の硬水を酒造りに使える、ということが灘の大きな特徴といえるでしょう。
伏見の女酒
京都府も清酒の生産が盛んな地域です。灘の男酒に対して「伏見の女酒」ともいわれています。伏見では軟水に近い中硬水が使用されており、まろやかな味わいになるといわれています。ミネラルの多い地層を通った中硬水を使うと発酵がゆっくり進むため、きめ細やかなお酒になるのが伏見の特徴です。
淡麗辛口ブームを牽引した新潟
兵庫、京都に次ぐ酒どころの新潟県。新潟県といえばお米ですよね。酒米の西の代表が山田錦であるなら、東の代表は新潟で生まれた五百万石でしょう。新潟県の日本酒造りに使われる水はほぼ、雪解け水を多く含んだ軟水といわれています。寒さも日本酒造りには好条件。「淡麗辛口」ブームを生んだのは、新潟のお酒なのです。
地域の特徴が出る、というのも日本酒の魅力のひとつですね!造られた地域を想像しながら飲む、というの楽しみ方も素敵だと思います。これまで数多くの酒蔵の方々に取材をさせていただき、水の大切さを教わることができました。皆さまのおすすめの地域も、ぜひ教えてくださいね!
※飲酒運転ならびに20歳未満の方の飲酒は、法律により禁じられています。